Berry in Lake ライトノベル含む読書感想など

ライトノベル含む読書やマンガの感想・レビューもどきなど

2008年06月 の記事一覧

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『作家の顔』 小林秀雄

 「日本における批評の文章を樹立した」日本の文藝評論家……などという説明は不用でありましょう。新潮文庫版。

 あらゆる文章の、その背後に作者の人間がいるという信念(江藤淳)のもとに、鋭敏な感覚をもって書かれた、主に作家論の集です。


 私は小説を読んで、あるいは何かしらの意思の表明を、論を読んで、その感想を書くことを拙ブログの目的の一つとしている。しかし、評論に意見する言葉は持たぬ。氏にとって批評が自己証明である限り、私が何を書いたところで、圧倒されるばかりで我が矮小を強調するのみであろう。

 いつ、どこで読んだやら忘れたが(おそらく三四年は前だ)、芸術に触れることとは、餌のない釣り針を、心の奥深くに、静かにゆっくりと垂らしていく行為であるという言葉が印象に残っている。

 爾来、鑑賞とは、そのものを観ることと同時に、それに何ものかを感じる自己を観ずることである、というのが私の鑑賞態度の底辺をなしている。無論文章も同様である。

 だから、評することは自己をさらけ出すことだ。私は自分を裸にしてまで、小林秀雄の論(その背後の巨人!)に言葉する術を知らぬ。雑文書きのくせに表現を放棄することを許されたい。そもそも捨て去る言葉さえ私にはない。

 私は元来言葉で表現をするのが苦手だ。またまた、と心優しい読者に言わせたいのではない。ましてや謙遜でもない。ある何ものかを感じ取ったとき、それを言葉というある程度デジタルな箱に詰めるのを惜しく思うのである。私は論理を愛する。もとより記号から成り立つから、言葉に変換しても欠くところが小さい。私の言語は、直観の著しい欠損を恐れる。

 素晴らしいと書くのは簡単だ。ましてや怪しからんと書くのはもっと容易い。言葉にならぬ内なる何ものか(意識しているとは限らぬ)を、なお言葉の上に表象する試みにおいて、そのぼやける輪郭を、かたどるように既存の言葉で埋め合わせていく。読みという光明が差したとき、読み手の心の内にはある影絵が浮かんでいる。読み手小林秀雄にはそれが判然と作家の顔として見えていた。書き手小林秀雄の批評は、初め曖昧と駁されたそうである。

 これ以上の雑文を続けることはすまい。私の釣り針は、引きちぎられて持って行かれてしまった。

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『マンガはなぜ面白いのか』 夏目房之介

 『マンガはなぜ面白いのか その表現と文法』NHKライブラリ。

 夏目房之介先生という方は、テレビなんかにも出ていて有名なので知ってる人は知ってるかと思いますが、あの夏目漱石大先生の孫にあたる方です。会ったことはないんだとおっしゃってましたが。

 そういえば最近BSマンガ夜話が放送したばっかりですね。タイミングが悪かった。夏目先生といしかわじゅん、岡田斗司夫とゲストが、生放送(たまに収録)でテーマに設定したマンガについて一時間めっぽう語りまくるという番組です。本人談、民放ではあり得ない番組。『へうげもの』の回だけ見たんだけどあと見られなかった……! そのときのゲストは山田五郎とオリエンタルラジオの顔が長い方でした。こんど『ハチワンダイバー』の公開収録があるそうです。本屋さんのマンガ担当の人が、夜話で扱うタイトルの本をわざわざ仕入れるくらい影響があるらしいです。

 閑話休題。

 タイトルの本はNHK『人間大学』で行った講義のテキストにあたるものが三分の二くらい占めています。自身漫画家でもあり、これの表紙も自分で描いてます。残りは講演の内容です。


 何しろ十年くらい前の本ですから、今とちょっと考え方違う部分もあるかもわかりませんけれど、先生は「マンガ表現論」という言葉を使います。物語性とかテーマとかいったものよりも、描線とかコマ構成のような他のメディア作品にないマンガ独特のものを積極的に取り上げる方法論を主張しています。

 また夜話の話で恐縮ですが、たぶんハチワンの公録があるってことなんで秋辺りまた放送するんじゃないかと思うので、そのとき多分また取り上げますが、見てみたら先生の言うマンガ表現論がどんなものなのか少しわかります。岡田斗司夫もえらく細かい事にこだわる読み方する人ですが、夏目の目というコーナーは必見です。どうでもいいけど見れば見るほど岡田斗司夫痩せたね。

 なぜ日本でマンガがここまで発展したのか? 我々はたとえば、銀行のATMでなんか操作した後、画面に「ありがとうございました」とかいって行員風の女性がおじぎするアニメーションが表示されるのを見ても何も感じません。十年ちょいまえの海外の方は驚いたそうです。この問いにも少しだけ触れますが、この本では深く言及しませんね。ただ大変面白いところです。ドラえもんによるマンガ読みのリテラシ教育とかもうね。

 私いろいろなもの読みますし、多方面の分野に手を出しますけど、マンガについて改めて考えさせられることほど、内省的新しさを感じたものは他に知りません。

 もっと色々紹介したいんですが、何しろマンガのことなので、絵で見てもらわんとどうしようもないので、興味あったらぜひ買って読んでみて欲しいです。たぶんふつーに暮らしてたらまずこういう考えはしない、というようなものなので、よっぽど普段マンガ読まないとかでない限り、読み物として面白いですよ。

[心理] “インターネット”は純粋な幻想か [長文]

 まずはこの記事を参照されたい。

 いい加減、インターネットという共同幻想から目を醒ましたらどうですか (Thirのはてな日記, 2008, 6, 24アクセス)

未だに、インターネットは現実とは全く違う理念で動き、そして独自の世界を築き上げていると思っている人がいる。(中略)実際本当にそうであるのかは全く確認されていないのにもかかわらず、「インターネットだから」という理由だけで、現実とは違う<何か>が存在するような錯覚を持ってしまう。

錯覚を錯覚と認めよう。もう、インターネットの独自性なんてものは存在しないのだ。

 確かに主にマスメディアなどによる「インターネット」なる語の適用範囲には誤謬を誘う要素があると言わざるを得ない。インターネットとはツールであり、本来的に現実の人間によって構成されるコミュニティであるという主張はもっともだ。

 しかし、それ故にインターネットの独自性は皆無であるという主張は飛躍であろう。なぜなら、ツールの違い(フェイストゥフェイスか否か)によるコミュニケーションの特性の違いがまずもって想定されるからである。

 では、インターネットとはどういったツールなのか。宮田(2005)の著作から紹介してみる。

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続・Opera9.5正式リリース

 Opera9.5問題なく使えて快適であります。まあ問題ないのは私があまりマニアックな使い方をしていないせいかもしれませんが。userjsなど一部機能しないみたいですねえ。

 表示確認などする必要があるのでFirefox3も正式版インストールしましたが、いやもうOperaから移行するのは無理ですこれ。

 個人的に嬉しいのはgifアニメの速度がまともになったこと……あんまり恩恵ないか。

 Opera9.5関連で検索さんから飛んでくる方が結構いらっしゃるので、ちょっと上書きインストールについてだけまた書きます。

 情報量そう多くないですがOpera9.5 正式リリースもどうぞ。

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短編小説講義 筒井康隆

 うちの周りで紫陽花が咲きはじめました。紫陽花というと、小さな花が集合しているようなあれですが、あれは全部装飾花で、本当の花は中心で咲くんだってさ。

 梅雨時に聴きたいアニメソング。

 閑話休題。


 ブックオフで新書あさってたらたまたま見かけたので買ってみた。岩波新書『短編小説講義』筒井康隆。三島由紀夫の文章読本を読んだときも思ったが、物書きが読むなら打ちのめされる覚悟くらいはあったほうがいい。


 六人プラス一人の作家とその作品を挙げて一つずつ分析していく。筒井康隆は結局の所、「短編小説作法などというものなどはない」「小説というものは(略)何を、どのように書いてもいい自由な文学形式」という主張を持っている。芸道的な短編小説というものに対しては否定的である。

 一方で、では何の束縛も受けずに自由に書けば名作が生まれるかというと、そんなことはないとも述べている。なぜなら、過去に読んだ名作から内在化した何ものかの影響を受けるからだ。「いやしくもこれから短篇小説を一篇書いてみようかというほどの人が、短編小説作法に類する常識をまったく知らず、名作を一つも読んでいないなどということはあり得ない」

 挙げられている六人の作家は、これという「テーマと内容を、まさにそう書くしかないという形式と技法で」書き、ゆえに名作が生まれた。筒井康隆は他になんの応用もきかない短編小説を理想としている。

 つまるところ、自由な形式で書くということは、作法がないとか好きなように書くというよりも、無意識に創作を規定する内在律をいかに脱し、オリジナルのものを作り上げるかということだと言ってるんだと思う。たぶん。

 プラス一人の部分は、まあ最後の最後でいつもの筒井康隆に戻った! みたいな。

 ドタバタもめちゃくちゃではないんだなあという感じですよ。筒井先生が常に新しいことに挑戦している動機みたいなものが垣間見える本でした。挙げられている作品も読んだことないものばかりなので探してみよう。

Opera9.5 正式リリース

 ウェブブラウザOpera9.50が正式リリースされました。

 私は以前からOperaユーザであります。ベータからのユーザの声を聞いてる限り、っていうか2chのOperaスレを読んでいる限りまだバグがあるだの時期尚早だの様子見だのということですが、せっかくなので突撃してみました。

 以下は実際いじくったのとスレの情報から。Operaスレ住人に感謝。

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[ラノベ] 学校を出よう! 谷川流

 Perfume < Capsule な私は古い人間。こんにちは。

 ニコニコ。三つめはネタ。シンクロしすぎだろ……

 あとゲーム関係のニュース1つ。

 SO4は箱○で Impress

 な、なんだってー! さすがに次回作はひょっこりひょうたん島にはならないとは思いますが、3をプレイした身としては内容に不安しか覚えません。

 閑話休題。


 『学校を出よう!』は電撃文庫のラノベ。谷川流といえばハルヒの人です。学校を出ようの方が面白いと聞いてたんで読んでみようみようと思いつつ、買ったはいいものの積んであったのをようやく崩して読みました。一巻。

 EMP能力と呼ばれる力を持つ少年少女の超能力者を、隔離収容する山奥の学園が舞台。

 SFですね。ドタバタしつつ、シリアスな話もまじえつつ。ハルヒしか読んだことない私ですが、なんとなく谷川先生らしい作品だなあという印象でした。キャラクタが似ているとかそういうのではなく。


 谷川先生らしいというのは、『涼宮ハルヒの憂鬱』でもそうですが、択一的な選択において二元論的な回答を安易に出さないところですよね。~の憂鬱という作品は「退屈な日常」と「楽しい空想」というテーマ上の選択において、「日常だってとびきり楽しい」という止揚的解決に向かうところが私の目には面白く映ったのですが、学校を出よう1の主人公も似たような所があります。優柔不断でもニヒリズムでもない、谷川流作品の主人公は贅沢なのだと思う。

 PSYネットワークってのはまたすげー興味惹かれるというか、個人的に凄く好きな概念ですね。フロイトでいう超自我を自我内で意識的に作り出した感じかな。

 ま、読んでもらうしかないんですけどね。

 とりあえず二巻も読んでみるかな。主人公が変わるそうなので、ハルヒみたいにぐだぐだしないのを期待できそう。

 まあその前に積ん読。どうも読むペース<買うペースなのは、たぶん本好きならみんな一緒さ。きっとそうさ。

秋葉原大量殺人事件(長文)

 秋葉原でとんでもない事件が起きました。ええと、報道を聞いている限り、素人目にですが通り魔というより大量殺人事件として扱う方が良さそうな気がします。すると附属池田小事件あたりと分類としては近くなります。

 動機について曖昧な点もありますが、何かしら、これは些細なことかも知れませんが、引き金となる出来事があったのだと想像されます。身元を隠そうとしない、逃走手段について顧みない、警察官に対しても攻撃行動を行うといったことから、自殺願望が見えます。推測ですが警官に刃向かったのは撃ち殺して欲しかった部分があったんじゃあないでしょうか。あくまで現時点でわかっていることからの想像ですが、裁判では自ら死刑を望むような言動をするかも知れません。たぶん動機の背景に特定の思想・信条もないでしょう(動機を正当化する強固な理論武装はない)。

 犯行予告についてはどう報道されてるかわかりませんが、面白がっているとかではないと思います。快楽・愉悦が目的ならバレないようにやりますから、形としては連続殺人の形を取りやすいと思います。持論になりますけど、後戻りできないように自分を追いつめたんじゃあないですかね。

 こんな推測をした根拠について。

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iAudio U5買った

 iAudio U5はCOWONのデジタルオーディオプレイヤーです。今までSonyのWalkmanを使っていましたが、容量が物足りなくなってきたのと、楽曲管理用のSonicStageがあまりにゴミすぎるので買い換えました。

 →公式サイト

 ヨドバシカメラなどの量販店価格で4GBが14000円、8GBで17000円なので価格対容量はなかなか。通販など利用すればもっと安く買えると思います。以下長文レビュー。

  • デザイン・仕様など
  • 音質とエフェクタ
    • イコライザ
    • BBE
    • Mach3Bass
    • MP Enhance
    • 3D Surround

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心狸学・社怪学 筒井康隆

 筒井先生の本は掌・短編集しか読んだことがないです。時をかける少女とか七瀬とか読みたいものたくさんあるんですけどね。なんででしょうね? しーらないっ。

 おそらく筒井さんのナンセンス・ドタバタが割と頭を空っぽにして読めるものだからだと思われます。ちょっと難しい本なんかと併読してるとちょうどいいんだよね。

 『心狸学・社怪学』もやたら構えず読むのがちょうどいい。下品な話が嫌いでなければ。


 おおよそ初期の(と思われる)ナンセンスものばっかり読んでる私ですし、筒井さんはどんどん新しいことを取り入れていく方なので、一概にいったら怒られそうな気がしますが、筒井康隆の短編は嘘がないです。汚いものを汚く書くひとですよね。悪くいうと下品なんですけど。星新一みたいにきれいにオチないですし、癖があるので駄目な人は駄目でしょうね。私ははまった口なんですけどね。新潮文庫『最後の喫煙者』収録の最後の喫煙者なんか大好きです。ばかすぎ。誉め言葉として。

 wikipediaあたり参照されればいいので詳しくは書きませんけど、筒井さんは人間的にもかなり魅力ある人なんですよねえ。まあショートショートに限って言えば万人にお勧めできるものでないのは確かなんですけどね。

 上にも挙げた『時をかける少女』や七瀬三部作(『家族八景』『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』)、あとショートショートではまだ『笑うな』を読んでないのでこれも、読んでおきたい。あと『ビアンカ・オーバースタディ』の予習に『ダンシング・ヴァニティ』も読んでおかないと。

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秋涼いちる

 ライトノベルから漫画から、一般小説、新書、果ては辞典までおよそ本の形をしたものなら何でも読む。

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