Berry in Lake ライトノベル含む読書感想など

ライトノベル含む読書やマンガの感想・レビューもどきなど

2008年08月 の記事一覧

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一億三千万人のための小説教室 高橋源一郎

 『一億三千万人のための小説教室』 高橋源一郎、岩波新書

 私はこの手の本を読むと、漱石の夢十夜第六夜を思い出す。

 私は割とこうした本が好きで、書店で見かけるたびに結構な確度で興味を示す。それは私が一応物書きを自称している人間で、自称である以上そのことは疑いなくて、しかし小説の書き方を学びたいからという事情ではおそらく無い。

 小説観だとか、言葉にしてしまえばこれも貧弱な概念だが、良文というものをどういう風に捉えられるのか、ということに関心がある。書籍として出ているものは数えるほどしか読んだことがないが、ネットでもそういう意図の文章は公開されているし、私も読んだことがあった。

 小説について書かれた文章はおよそ二つに分けられる。一つは技術論的なものであり、もう一つはより大きな「小説」という概念について語るものだ。この本は後者である。

 後者型の本の著者は「小説は誰でも書ける」ということに対して割と消極的である。

 高橋もやさしく書いているように見えて、その実「世間で出回っている小説のほとんどは、小説以前、『小説のようなもの』」だと始めに釘を刺している。ここに筒井が「小説とは最も自由な文芸の形式である」ことを強調しながらも、芸道的な「小説作法」を批判したのと近い小説観が見える。書かれているのは単なる技術の問題ではない。

 だからこれを文字通りレッスンと受けとると、あまりに感覚的な言葉に惑わされるだけだろう。全体的に言葉遊びが多いことも漠然とした感じを与えやすい。そもそもが小説の書き方なんて自分で見つけるしかないと言い切っている。

 高橋は小説とは「つかまえる」ものだ、という語彙を使った。苦しい選出だったんじゃないかと思わぬでもない。小説の具体的な定義は避けた。そも、それが言葉で判然と定義できるものでないと考えているからこそ、このような本を書くのだ。

 「つかまえる」というのは、それが生み出すより先にあるということだ。ようやく漱石を引用しようか。

「よくああ無造作に鑿(のみ)を使って、思うような眉や鼻ができるものだな」自分はあんまり感心したから独り言のように言った。するとさっきの若い男が、
「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あのとおりの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだから決して間違うはずはない」と言った。

 自分はこの時はじめて彫刻とはそんなものかと思いだした。はたしてそうなら誰にでもできることだと思いだした。それで自分も急に仁王が彫ってみたくなったから見物をやめてさっそく家へ帰った。

(略) 自分は積んである薪を片っ端から彫ってみたが、どれもこれも仁王を隠しているのはなかった。ついに明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないものだと悟った。それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った。

――『夢十夜』夏目漱石

 何とも美しいじゃあないですか。これが小説なんだ、と私は理解している(つもりになっている)。高橋源一郎の「仁王」とはなんなのか、『一億三千万人のための小説教室』にはそれが書かれている。

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関連タグ: 読書

[フリーソフト] Spider Player

 本館が繋がりにくくなってたのは落雷でサーバーが死んでたせいらしいです。このごろ雨すげーですね。

ss メディアプレイヤー "Spider Player"。現時点で最新ver.は2.3.5のようです。

 いやー、私は普段winamp使ってるんですが、これ乗り換えるかも。余計な機能がないぶんサクサク動きます。聴くだけならいいなあ。iAUDIOにぶち込む用にwinampもしばらく使うけど。公式スキンはなんだか趣味の悪い蜘蛛がうざったいのでとくとく変えたい。

 公式。英語ですがソフトは日本語にデフォルトで対応しています。右クリックからOption→General、LanguageのプルダウンメニューからJapaneseを選択。フォントも自由に変えられます。

 2chソフトウェア板Spider Playerスレの>>1から引用(感謝!)。

  • 快適な動作
  • winampに似たインターフェイス
  • オーディオファイル、ストリーミングなど30種類以上のフォーマットの再生。
  • インターネットラジオ/ストリーミングの再生。
  • Un4seen のBass Audio Library を使用した高品質の音質。
  • 5.1/7.1CHサラウンドに対応。
  • AAC, AC3, MIDI 再生プラグイン。
  • ユニコードサポート。
  • ID3 v1 & ID3 v2 、Vorbis、FLAC、WMA タグの編集。
  • CDをMP3, WMA, OGG, WAV にリッピング。
  • ストリームファイルの再生やインターネットラジオなどのストリームの再生。
  • 再生スピード/エコー/リバーブのエフェクトが可能。
  • 10バンドオーディオイコライザ。
  • ファイル形式変換、MP3, WMA, OGG, WAV エンコード。
  • 歌詞の編集。
  • プレイリストの読み込みと保存(M3U, PLS, ASX)。
  • スキンやアイコンのカスタマイズ。
  • CD-Text および FreeDB に対応。


 ありそうな問題など。

 曲切り替えのタイミングが気持ち悪い。 →初期設定でクロスフェードが有効になっています。オプション→サウンドからクロスフェード長を0に。

 スキンフォルダってどこよ? →C:\Document and Settings\[user name]\Apprilaction Data\Spider Player\Skins

 スキンの作り方教えて →Make Skin for Spider Player こちらで詳しく解説されています。

 DSPってどうやってつかうの? →デフォルトスキンだとわかりにくいですが、イコライザウィンドウの左上にあるボタンがそうです。使いたいやつにチェック。とりあえずSFXを試してみよう。ダウンロードしてpluginフォルダにつっこめば使えます。まだ専用のプラグインはこれくらいしかないですが、一応winamp用のDSPがwinamp DSP wrapperを介して使えます。


 いいソフトだと思うんですが、マイナーすぎてスキンとかもろくにないので今後の展開に期待です。スキンくらいなら自作してみようカナ。

関連タグ: フリーソフト

[ラノベ] イリヤの空、UFOの夏 秋山瑞人

 『イリヤの空、UFOの夏』1~4 秋山瑞人、電撃文庫。

 電撃文庫の誇る名作。SF。

 イニシエーションがテーマなのかな。全体的な構成としても、そこかしこの小さな設定にしても「境界」とか、それを乗り越えるといった展開が見られる。

 三巻の中盤くらいから一気に雲行きが怪しくなった、物語が急転した、と読者は思うだろう。それまでのコミカルな感じが一転する。ある人は鬱展開というかもしれないし、あるいは読み終わって本を壁に投げつけた、と感想する。

 しかし物語は何も変化などしていない。ただ非日常が薄皮一枚の危うさで見せかけの安穏の傍にあり続けただけであり、巨大な、呼びたければ運命とでも呼ぶがいい、人ひとりの小さすぎる手には負えない、もう誰にも止められない流れがあっただけである。それから目をそらしていたというだけの話。この時点での視点が「榎本」という距離に保たれているのは秋山瑞人の仕掛けたトリックだ。

 目をそらしたかった。浅羽は目の前にある大きすぎる何ものかへと一歩踏み出す勇気が無くて、それを罪だと思う程度にやさしくて、わかっていながら失敗を繰り返す程度に等身大の一般人だ。誰が浅羽を責められるだろう。読者は見かけの平穏を遠目から一緒になって笑っていたのではないのか。後半への落差は明らかに意図的だ。

 浅羽は一歩を踏み出す。そこで物語は終わらない。……これが『猫の地球儀』でも見せた秋山瑞人の凄いところであるのだが。

 浅羽は伊里野と一緒に運命から逃げ出す選択をした。では終わらないのである。浅羽は伊里野の小さい肩に重すぎる荷が載せられていることを呪う。「なぜ伊里野が」。覚悟は本物だ。トイレで自分の首にカッターを当てるシーンは息をのんだ。言うまでもない秋山瑞人の筆力と、迫力を演出した浅羽の意志のためだ。

 だがどこまでも浅羽は一般人だった。いや、浅羽が「スーパーマンのような人」と評する水前寺さえその前に屈した。浅羽は巨大すぎるそれを自分が背負う番になって、まさにその重さに耐えきれなかった。「なぜぼくが」と思ってしまった。それは絶対にしてはいけない呪うべき問いだったし、避けることのできない現実だった。過ちを繰り返す。

 逆境における根拠のない少年マンガ的主人公力の爆発は起こらなかった。秋山はそんなもの描かない。愛があれば云々といったロマンチシズムなど微塵も信じない。ただ運命の凄惨さを見せつけ無力を思い知らせるだけの悲観主義でもない。“鬱展開”を挿入してお涙頂戴しようという上っ面の悲劇などではもちろんあり得ない。

 猫の地球儀の読者は知っている。そうでなければ思い知るだろう。秋山瑞人が書くのは必然だ。自らの生み出した世界観を裏切らない。浅羽はもう一度足を踏み出す。夏は終わる。


 いやー、ほんとすげーわこの人。イリヤの空ってだいぶ売れただけに色々レビューも探せばあるんだけど、私にはどれもしっくりこなかった。

 私はセカイ系という言葉が死ぬほど嫌いで、web2.0くらいの意味しかこもってないうんこワードだと思っている、あるいはセカイ系だろうが厨二だろうが童貞小説だろうが面白けりゃあいいと思っているのですが、さておき。ここまでやったラノベって他にあるだろうか。あるならぜひ教えて欲しい。

 次は何を読もうかな。

関連タグ: 読書ライトノベルラノベ秋山瑞人

[マンガ] まりあ†ほりっく3 アニメ化って今日知ったわ

 これアニメ化するの!? できるの?

 うわー今日たまたま見かけて帯で知った! っていうか三巻出てるのすら知らんかった。衝動買いしてきた。新房シャフトかー。

 キャスト……ドラマCDと同じだとしたら茉莉花さんは井上麻里奈ですか。ドラマCDの感じだとぴったりだったし期待してよさそうだ。つーか好みだ。平野綾はあってるようなあってないような。かなこでっかいし声が高すぎるかナー。GODが完璧だったのは間違いない。


 まりほりはギャグマンガ。ロ短調だった。

 二巻でちょっと減速したかと思いきや、三巻で方向性新たに復活したな。茉莉花さんの活躍が増えて私大歓喜。「まつりかさんがわらった……」のとこは変態かなこと同じ反応しちまったぜ。


 マンガも最近手が広がってきたなあ。よつばとの最新刊がそろそろ出るんだっけ。異国迷路のクロワーゼの二巻はいつ出るんだ。それ町買ってないや。次は何読もうかな。

iAUDIO U5 イコライザの話

 本読み終わらないと本当に書くことがねーや。

 COWON iAudio U5関連の検索でたまに来る方がいるので、また適当なことを書いてみる。 関連記事

 iAudio U5はCOWONのMP3プレイヤーです。MP3だけじゃないけど。むしろFLACとか聴けるのが強みと言えなくもないけど。エフェクタが充実してるのが売りですね。


 検索でよくあるのが "iAudio U5 (機能名)" みたいなの。BBEとか。次がエフェクタ関連です。イコライザとかプリセットとか。

 機能は前の記事に書いたし調べりゃわかるんで、JetEffectについて書いてみようと思います。あれから色々試してみた。

 iAudio U5はAdvanced EQといって、イコライザのバンド幅や位置を細かく調整できます。ここまでする意味あんのかと思ったけどいじり始めると結構はまりますね。イコライザは5バンドで各-12から+12まで25段階、幅がwide, Normal, Narrowと3段階で、位置が数段階ずつあります。組み合わせは無数で取っつきにくささえありますね。

 イコライザ設定なんか自分で好き勝手やるからいいんだと思いますが、一応の目的は取っつきにくいAdvanced EQに手がかり足がかりを加えること、及び反論異論を求めて理解を深めること。注意点として用語はあんまりかっちり定義してない感覚的なもの。私は素人。長文。

 どうせイヤホンによっても変わるしね。あくまで自分の好きな音を見つけるとっかかりとして。

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ソフトボール女子悲願の金メダル

 上野男前すぎる……

ボルト200mでも世界新 ※向かい風で

 人間かあれ?

 MJの記録がそもそも化け物だっていうのに……

 http://jp.youtube.com/watch?v=nuV7najtUPA

追記:あ、もう動画消された。

氷菓 米澤穂信

 自動販売機でジュースを買ったら当たりが出た!

 都市伝説だと思ってたぜ。あれって音とか鳴ってるんですかね、イヤホンしてたのでわからなかったんですが、脇に当たりが出たら30秒以内に選んでくださいって書いてあって、これ気付かずに行っちゃう人も結構いるんじゃないかと思いました。n回に一回とか決まってるんだろうけどなんかささやかな幸福感を味わえた。


 閑話休題して、こちらは日常の「謎」を描いたミステリ、『氷菓』米澤穂信、角川文庫。ラノベ扱いにするか迷ったけどどっちでも通じそうだなこれ。もともとは角川スニーカー文庫で発売されたもの。古典部シリーズの一作。

 はまりそうだこれ。おもしろかった。ミステリだけど殺人事件とかが起こるわけではなく、推理するのはささやかな謎である。

 活動目的不明の古典部になりゆきで入部することになった灰色の青春を送る少年・折木奉太郎は、好奇心が疼き出すと止まらない一見清楚な少女・千反田えるとともに、古典部をめぐる三十三年前の事件を追うことになる。

 折木と推理対決をしながら読むのが吉。いや最初にいくつか提示される「日常の謎」では私は歯が立ちませんでしたが、核心に近づいてからの「資料読み」はちゃんと解けます。でもその後ひっくり返って私涙目。名前は気付かねーよ普通! あ、わかる人だけわかってください。

 タイトルがまた秀逸だなあ。パズル的要素だけでなく、テーマとしっかり絡めてくるあたり、この小説うまーくできてるんですよねえ。

 キャラクタも好きなんでそのうち続編も読んでみたいと思います。と思ったけど先に『春季限定いちごタルト事件』買ってきちゃったー。

 キャラといえば世界の果てから折木に手紙を送りつけてくる姉がいい味出してますね。薄いですが隅々まで面白い本でした。

関連タグ: 読書氷菓米澤穂信

[ラノベ] 『猫の地球儀 その2』 秋山瑞人

 『猫の地球儀 その2 幽の章』 秋山瑞人、電撃文庫。

 焔の章の続きにして完結編。

 あらすじは一巻目の感想で書いたからもうちょっと抽象的な話。

 寓話的性格があるんだけど、それを意識させながらドラマも楽しませる。名作。

 wikipediaの言葉を借りると「夢の実現には時として犠牲が伴う」という硬派なテーマにのっかった、孤独だろうと無い物ねだりと解っていようと貫こうとする二匹の猫の信念の物語。その一方で、二匹の間にいる楽という猫の存在が重層を作る。

 楽にはあの結末しかなかったと思う。楽の存在は焔と幽の両者にとって、信じてきた道の対極にある価値観を補填するものとして描かれる。これは意図的です。焔が夢は自分にとっては素晴らしいが他者にとっては耳クソみたいなもんだと言い、幽はそれを否定しない。自分しか自分には価値を認めないと知っている二匹に対し、楽はその彼らを認める役回りを持ち、それは同時に彼らの信念を揺るがす存在としてあることになる。

 意図的である以上結末はテーマ上の必然です。なんか今どきのラノベでやったら叩かれそうな展開ですが、私はあれしかないと思ったし、あれ以外だったら納得していなかったかも。


 いやー何ていうか信念のぶつかり合いみたいな話はツボ中のツボなんですよね。最高でした。読み終わって気付いたらからすが鳴いてました。

 夏が終わる前にイリヤの空でも読んでおこうかな。

関連タグ: 読書ライトノベルラノベ秋山瑞人

動物化するポストモダン 東浩紀

 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』東浩紀、講談社現代新書。

 大変面白かった。現代思想なんかは得意でないのですが、簡単な解説があるので前提知識は不要でした。むしろオタク的文化についての知識があるほうが読みやすい。

 私は一般的価値観からすれば明らかにオタクですが、ほとんど二次創作を消費しないので東のいうところのオタクとは若干祖語があって、より興味深かった。オタクは二次創作を当たり前に消費する。これはオリジナルとコピーの区別が薄れていくというボードリヤールのポストモダン像の予言と一致する。

 ボードリヤールはそのような、区別の薄れたオリジナルとコピーの中間に位置するものをシミュラークルと呼んだ。オタク的文化はこのシミュラークルのレベルで動いているのだというのが、オタクをポストモダン的消費者と位置づける東の主張するところの一つである。

 ではなぜそのような消費が起こるのか。ここで大塚英志の『物語消費論』を参照し、踏襲する。大塚によればオタクはその作品が展開するドラマ(小さな物語)でなく、その世界観・設定(大きな物語)を消費する。

 大きな物語は元来、近代において求められ、国家成員をまとめ上げるシステムやイデオロギーとして機能した「背景にある何ものか」を名付けたものです。小さな物語はその表象で、リオタールはポストモダンにおいては大きな物語が凋落すると予言した。

 『物語消費論』自体は少し古めなので東による補足があります。というのは、ガンダム世代くらいまではこれが正しい。例えば機動戦士ガンダムは冨野監督の傑作ですが、ガンダム世代のオタク(第二世代)は架空の大きな物語である宇宙世紀を正統に共有する続編を求め、歴史のあら探しに執心し、メカニックのリアリティに固執した。

 一方で、東によればさらに新しいエヴァンゲリオン世代(第三世代)は、もはや大きな物語さえ必要としない。エヴァンゲリオンは劇場化され、ゲーム化されるが、これらは公式の時点でもはやオリジナルのパラレルであり、歴史を共有しない。

 これは大きな物語が凋落するという予言と一致し、ポストモダン的消費といえる。そうして、生産されるオリジナルが既にシミュラークルの水準で作られていることを指摘する。

 オタクが消費するのはデータベースなのだ。それは設定であり、萌え要素の組み合わせであり、手っ取り早く「感動できる」物語のパターンであり、失われてしまった大きな物語を補填するための虚構のリアリティである。物語が伝えんとするメッセージや背景にある「作家性の神話(強引にオリジナリティと置き換えてもいい)」には関心がない。

 「原作は知らない」がまかり通る東方の流行に極めて強くこれらの現象は見て取れるだろう。東方という世界観とキャラクタがあって、萌えられるシチュエーションや感動できる物語がくっつけば、それは消費の対象となる。

 また創作する人にはわかると思うが、「設定の細やかさに終始する」創作動機は一般に見られる傾向であるように思われる。

 その他、近代には神や社会すなわち大きな物語が人間性を保証したが、大きな物語が失調したポストモダンにおいて、人間性はどのように捉えられるのか、といったことにつっこんでいく。


 詳しく書けないのであれだが、こと二章の部分はよくできていると思う。それ以外はちょっと強引な部分もある気がするが。

 ポストモダン的か否かという点は、近代文学を楽しめない人と楽しめる人の差、と私などは捉えてしまった(もちろん逆に言えば二次創作を楽しめる人と楽しめない人の差だ)。今でも「よい作品を創作するには近代文学を読め」なんてことを言う人がいますが、これも近代とポストモダンの原理的断絶から考えれば成る程説得力もある気がする。「よい作品」を狭く古く定義すればだが。結構この辺り深く立ち入っていくと面白いので、オタク的文化に関心がある人はぜひ読んでみて欲しい。

 もっとも、現代日本がどうなってるかなんかまるで興味がない、というのが本来的な「大きな物語の凋落」や「動物化」でもあるのだけれどね。皮肉なテーマです。

関連タグ: 読書東浩紀

[マンガ] かんなぎ1 武梨えり

 ぱっつんはよいものだ。――ゲーテ

 途中で折れました。

 色々破綻してるなあ。


 かんなぎらじおおもすれー。っていうかヤマカン&倉田が面白い。なんだあいつら。

 ざんげちゃんの花澤香菜は適役っぽいなあ。アニメ始まったら見てみようかな。

 かんなぎ1 武梨えり、一迅社。設定やキャラクタなんかは真新しくはない。けれど、雰囲気は独特のものがある。シリアスをやりたいんだかコミカルをやりたいんだか全くわからないんだけど、それが作者のやりたいことなんだろうなあ、という感じ。まだ一巻しか読んでないけど。

 あわない人にはとことんあわないかも知らんね。単に中途半端に見えてしまうかも。

 かんなぎらじおでも倉田さんが言ってますが、面白いのはコマ割です。ぶち抜きとか縦長のコマを頻繁に使って武梨さんが描きたいものは明らかです。

 脚です脚。上半身で切りたくないんですこの人。腰から腿にかけてのこだわりが凄まじいですね。そんなんだから男に間違えられるんだと思います。

 「主人公が美少女と突然同居することになって辟易とする」というありがちなシーンで、普通のマンガだとヒロインの顔を盗み見るなんてシーンが挿入されます。で赤面しちゃったりとかが定石です。このマンガだとそれが腰なんですよ? 腰だけ切り取ったコマですよ。

    ∩
    ( ⌒)     ∩_ _
   /,. ノ      i .,,E)
  ./ /"      / /"
  ./ / _、_   / ノ'
 / / ,_ノ` )/ /
(       /  good job!
 ヽ     |
  \    \

 ナギに負けず劣らずざんげちゃんの脚も素晴らしいぜ。ギャグのテンポとかも悪くないので物語が本格的に始動しそうな二巻以降に期待です。

関連タグ: マンガかんなぎ武梨えり

[ラノベ] 猫の地球儀 秋山瑞人

 『猫の地球儀 焔の章』秋山瑞人、電撃文庫

 SF。「宇宙に浮かぶ島」トルクは大昔に滅んだ「天使」の遺物であり、その中では猫が文明を築いている。幽は最後のスカイウォーカーで、猫で、牡で、まだ若い黒猫だった。教義に反する思想を持つスカイウォーカーであることは死に値する罪だった。
 最強のスパイラルダイバー斑を倒した焔はもちろん猫で、牡で、痩せた白猫だった。戦うことで飯を食って、負けたときは死ぬときだと信じていた。

 その幽と焔が出会ったとき、物語は始まる。


 秋山瑞人の文章力はライトノベルレーベルの中では抜きん出ているなあ。ラノベの文章って基本的にやさしく書かれているのだけれど、中には単に下手で色々足りてなかったりあほっぽかったりするものも多い。猫の地球儀は日常とかけ離れたSFな世界観を明瞭に鮮やかに、かつ読みやすく書き出している。

 ライトアップされるのは二匹それぞれの信念だ。誰にも理解されない、けれど貫き続けた信念が、思いがけず揺らぐ、その瞬間へ至るまでの張りつめた危うさが、二匹の関係性を作っている。すっと魅力的な世界観から入って、物語の激動まで、ぐっと引きつけて放さない。

 後書きを読むと続きが前提のようですね。幽の章も内容忘れないうちに読んでおきたい。

サポーターは○人目の戦士

 つい応援に熱が入る無邪気な一条さんの図。

 きょうもへいわだなあ みつを

詭弁論理学 野崎昭弘

 ――みつをは全てのことを言った。ゲーテ

 あ、何でもないです。中公新書『詭弁論理学』。学と付いてますが、エッセイめいた部分がほとんどでした。というか二三章要らなかったなあ。

 論理学というと、三段論法とかベン図とか、記号論理学的なものを思い浮かべるのが一般的かと思います。が、この本は修辞論理学っぽい感じでありつつ、あんまり堅苦しくなく「強弁」「詭弁」について書かれています。まあ新書だし。

 議論に強いとか、相手を言いくるめるのが得意みたいに言われる人の弁が、必ずしも論理的ではない。なんてのは国会の問答なんか見てると瞭然と理解されるのですが、ここには正しいとか正しくないなんてのは度外視した、口のうまさとか、うまくもねーけど強引さみたいなのがあるわけです。

 そういうのを何となく分類し、特徴を知って見破ろうみたいなのが二三章の部分。論理学の本の癖にところどころ挟まれる著者の意見が飛躍しまくってたりしますが、主観的なところをすっ飛ばしながら読めば面白い本でした。個人的には最後の四章が一番面白かった。

 四章は論理パズルを使った記号論理っぽい話になってます。キャロルの理髪店のパズルとか、死刑囚のパラドックスとかを使って頭の体操をしようという感じですね。

 例えば。


 あなたは不運にも死んでしまって、これから天に帰るところです。と、分かれ道に着きました。
 この道の片方は天国に、片方は地獄に通じています。岐路の前には二人がいて、一人は天使、一人は悪魔です。天使は本当のことしか言わず、悪魔は嘘しか言いません。
 さて、あなたは一回だけ、どちらかに、「はい」か「いいえ」で答えられるような質問をすることが許されます。どういう質問をしたら確実に天国へ行けるでしょうか。


 有名な論理クイズですね。このクイズは有名なので答えを知ってる方も結構いらっしゃると思います。私も知ってました。

 では、次にこうしたらどうでしょう。道はこれまで通り天国と地獄の二択です。が、今度は「天使」と「悪魔」の他に、もう一人「人間くん」がいて、こいつは「嘘を言うか本当を言うか決まっていない」のです。

 さあ、二回の質問で天国へ確実に行くにはどうしたらよいでしょうか?


 ま、こんなパズルを解きながら論理で遊ぼうみたいな内容です。終盤戦が記号的で若干難しめに見えますが、やってること自体はめっちょ難しいってわけでもないので楽しめます。

 まあ暇だったらクイズのほう考えてみてくりゃれ。

[マンガ] 聖☆おにいさん1

 流星レコードええなあ。ハミングバードも。

 ひだまーぶるラジオ 「marble/流星レコード」発売記念

 亀の子パズル含む三曲をラジオ中に披露。プロってすげーなあ……後半でひだまーぶるCD(仮)の告知も。これも欲しいー! そういえば全然関係ないけどrock'n roll never dieも九月だったっけ。今から出費が心配だぜ。


 閑話休題。

 聖☆おにいさん1 中村光 講談社

 もうね。ばかすぎ(誉め言葉です)。

 立川のアパートでブッダとイエスが共同生活を……って内容説明するのもばかっぽいな。一ページで笑えるギャグマンガです。アニメイトにサンプルが置いてあったんですが、最後まで見ていられなかったので買いました。店内でにやにやしてたら気持ち悪いからな!

 ギャグマンガは笑ったら負けと思っているので、立ち読みで私を負かした作品はちゃんと買って帰ります。ぱにぽにとかまりあ†ほりっくとかそうやって集め始めた記憶が。まり†ほりは私の一押しです今。

 中村光はほんとう天才か紙一重で変態だと思った。

訃報

 河井英里さん亡くなってたのか……

 今晩は彼女の歌エンドレスで明かすかな……ああ、もうディスプレイが曇ってきやがったぜ……


 心から哀悼の意を表します。天使の歌で眠りにつかんことを。

返信

 ちょっと久々にゲームなどやってみていたり。

 これがどうして、なかなかに面白い。最後までやって印象に残ったら感想でも書くかも。


 以下は小説に頂いた感想への返信。
 ネタおkにチェックが付いてる場合拍手の延長扱いでここに返信されます。注意書き改めておこうかな。

 関係ねーやという人は今日の分はスルーで。

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[ラノベ] 『付喪堂骨董店』 御堂彰彦

 『付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います』 御堂彰彦、電撃文庫。

 “アンティーク”と呼ばれる――ただの骨董品のことではない――ある超常的な能力を持った道具と、それを手にしてしまった者達を巡る話。短編集形式で四編。

 面白かった! 一章とその先がちょっと色が違う感じなので、どっちを気に入るかで印象も違うかも。個人的には四章のばかっぽい話も好きだぜ。咲かわいい。

 短編であることの強みだと思いますが、プロットがかなりしっかり練られているなあという印象でした。ぐだぐだ立ち止まることがなくて読みやすいです。特に結びが最高にいい。全体通して引っかかったのは一カ所だけですねー。文章はだいぶあっさりしすぎな感がありますが。

 三章は「記憶」を材料に扱っていて、私はある程度慣れ親しんでいる領域なせいもあって落としどころが読めちゃったところもありましたが、構成がとにかくちゃんとしてるので面白く読めました。

 主人公がまっとうに活躍するラノベです。いや普通そうなんですけど、なんか「こいつがいれば話が作れる」みたいな濃いキャラクタを立てて、透明な主人公を観測者に使うみたいなラノベが結構あるので。それはそれで面白いけど。

 むしろヒロインが若干空気気味です。彼女はなんか謎が残されたまま終わっちゃって気になるので続きもそのうち読みます。


 私シリーズもののラノベって全部そろえてるの一つもないんですよねー。好きなんだけど、完結してるのとかは特に、終わらせるのが勿体なくて。RPGのラストダンジョン手前で燃え尽きる症候群みたいな。

 これは結構お気に入りのシリーズになりそうな気がしてます。ちなみにこれ以外だと文学少女とGosickが好き。そろそろこの辺りの続きを読もうかなあ。

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秋涼いちる

 ライトノベルから漫画から、一般小説、新書、果ては辞典までおよそ本の形をしたものなら何でも読む。

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