Berry in Lake ライトノベル含む読書感想など

ライトノベル含む読書やマンガの感想・レビューもどきなど

2008年09月 の記事一覧

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[ラノベ] “文学少女”と繋がれた愚者 野村美月

「何とでも云え。俺は運命の与えてくれたものをとる」

――友情、武者小路実篤

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)


 好きすぎて感想書けねえ。

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   |  {ト」l|.      : | "    ``: |!トリ  |
.  │  ヽ、|      ;.」_      |'ソ    !
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    ト.    ミ.ゝ ヽ.____./  /  l   /
    ヽ  ヽ           イ ,' / , '       ┼ヽ  -|r‐、. レ |
     \.             ノレ'/         d⌒) ./| _ノ  __ノ


 二巻で若干の失速感があったように思われた文学少女ですが、三巻で見事復活。っていうか、基本的に奇数巻が本編で偶数巻は周辺的なのだとか。

 やっぱり文学少女の醍醐味は名作をなぞるだけじゃなくて、そこに叙述的な重層性があることだよね。最後の手紙を読んだらもう文学少女シリーズから逃げられない。

 いつも通り、はじめはほんのり甘め、あとからビターテイスト。

 最初のほうは遅々として読書が進まなかったぜ。一区切り読み終わるごとに遠子さんかわいすぎてもだえてたからな……! このときの私の状態はちょっともうルイズコピペばりの煩悶ぶりなのでとても書けない。

 二巻の『餓え渇く幽霊』では一巻の焼き直し的なところがあったんだけど、今回はコノハがもう一歩成長して終わります。が……そこであの手紙だからなあ! 野村さんにくいよちょっともう!

 世間的には完結してしまったシリーズですが、読み終わっちゃうのが勿体ない気がしてゆっくり読んでます。でも続きすげー気になるわこれどうしよ。

 頭がオーバーヒート状態で文章がまとまらねえ。だめだこれ。全巻読み終わったら特設コーナーでも作りたい。でも今のペースだと半年に一冊くらいだな……

 しばらくは文学強化期間といこうかしらん。

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関連タグ: 読書ライトノベルラノベ“文学少女”シリーズ

地下街の雨 宮部みゆき

地下街の雨 (集英社文庫)
(amazon)

 宮部は火車しか読んだことがなかった。短編集で、表題の『地下街の雨』を含む七編を収録。

 ホラーテイスト? なのとか若干病的な感じとか。けど基本的にホラーではないんだなあ。読後感が不快なのは『不文律』くらいですかね。

 火車のときも思ったけど、私は宮部みゆきの文章があまり好きでないようです。宮部の文章は読みやすい。上手いか下手かで言うとたぶん凄く上手い。けど、くせがなさすぎて面白みがないというのかな。私はもうちょっと読みにくい文章が好きです。

 まあ基本的にプロットで読ませる人だよね。ミステリ作家でもあるので必然的にそうなのかもしれないですが。

 私はもともと宮部みゆきには、何か色々書いてる人、というイメージを持っていて、要するに何が宮部的なのか火車を読んでもよくわからなかったんですよね。この短編集を読んだ限りでは、大学生か新社会人くらいの女の子、という人物像が一番動かしやすい人なのかなと思ったくらい。

 なんつーか、感想が浮かびにくい。すっきり終わっちゃうし。もうちょっと数読まないと宮部みゆきはわかりそうにない。誰かおすすめ教えてくれ。

 面白かったけど、宮部読むならもっと面白い本がいくらでもありそうだな、というような本でした。『理由』が積んであるけど分厚い……動機付けが要るなあ。

関連タグ: 読書

[アニソン・ゲーソン] ひだま~ぶる

TVアニメ「ひだまりスケッチ×365」イメージソング集 ひだま~ぶる
(amazon)

 買ってきた!

 marbleすきだー。ギターがたまらん。

 うっひゃー(いちるは暴走しているようです)


 全12曲。ドラマCDの「シャララ」と「自転車」に加え、ひだまり荘の4人と吉野屋先生のイメージソング、「芽生えドライブ」「おんなのこパズル」「スケッチスイッチ」「流星レコード」のアコースティック ver.、とどめにmarbleオリジナルの「幸せは365日」という構成。

 ブックレットにはmarbleの二人とウメスの対談ものっていたり。

 「幸せは365日」は×365のために作ったんじゃなくて、もともとmarbleの曲としてお蔵入りしていたものなんだそうで。運命的なものを感じたとか。


 オーディオといや、iAUDIO U5を使ってる私ですが、最近FLACを試してみていたり。ファーム3.16は調子よくていいんだけど、可逆のFLACよりもMP3Gainでクリップ抑えたMP3のほうがひょっとしたら聴感上よかったりするのかしらん。最近のCDクリッピングしすぎ。

 4GじゃFLAC120曲しか入らねー。ケチらず8G買っておけばよかった。


 ひだまりが終わり……夏アニメも終わりかー。次はかんなぎが気になるところ。花澤香菜のイメージが盛大にぶっこわれそうだぜ! っていうかラジオでぶっ壊してきたぜ……。見所はざんげちゃん一択って感じ。

関連タグ: ひだまりスケッチ

――

         ./^l、.,r''^゙.i′
         l゙:r i:i′ .|       どんなかなしいことがあっても
      :i^¨''iノー-i (_.vv,、
      i.、/:::::::::::::::::゙彳_ >
     _,ノ i::::::::::::::::::::.('`,.ヽ    やせがまんでもいい
     ( 、:|:::::.i;i;i:::::::::::i:.'^゙'<       
     '' ::.!:::::.ii;i.|::::::::::.i‐ ,フ''
    .< :::i::::::.ii;i;|:::::::::.,「=(     ひのあたるばしょで
     `ー::|,.:::::i;i;::::::::::/.\^':、
      ./゙,r|:::::::::::::::::,i゙.'!'=;^′
     .) ,/ソ,:::::::::::,l'_ .).:r     つよくいきていこうとおもふ
      ゙'レ'´i''!゙ー/'(゙゙ | .|
         | ._,i'!(冫.;i .| 
            .. |. |      そう たんぽぽのように
              .! .i   ._,,,‐''^^'''''>
    、....,,,,..,,_      ! .;! .,/'゙`,_   .,ノ
    \  .⌒\  │ .|!.,,iミ/ ._,,,./′
      i  '^'''‐、..゙'hノ| .|厂 . ̄′
     .ヽ_    ゙メリ| .|
         ̄ ̄   |. |    ._,,,‐''^^'''''>

 *いちるの精神状態は末期的なようです。

[ラノベ] 『All You Need Is Kill』 桜坂洋

ALL YOU NEED IS KILL (集英社スーパーダッシュ文庫)
(amazon)

 成長ものの物語は数あれど、なにやら主人公が劇的に変わる小説。

 amazonのレビューに「男女の関係があっさりすぎる」というのがあったけど、それは意図的だったように思うなあ。『All You Need Is Kill』桜坂洋、集英社スーパーダッシュ文庫。良作。

あらすじ

 キリヤ・ケイジは訓練校を出たばかりの初年兵。統合防疫軍の敵はバケモノだ。「人類の敵」との初めての戦闘で、ケイジは敵弾に身体を貫かれる――目を覚ますと、出撃前日の朝だった。

 全ては夢だったのか? 二度目の出撃、そこでケイジは二度目のKIA(戦死)を体験し、目が覚めると、みたび出撃前日の朝だった。

 死神と同居の時間の檻から抜け出すことはできるのか……桜坂洋の描くSFバトルアクション。

感想

 私は桜坂洋というと、『よくわかる現代魔法』一巻を読んだきりで、こちらも好きなんだけどいまいち流行らなかったなあみたいな印象でした。いや全然テイストが違うね。

 世界観がえらいしっかりしてる。ラノベでバーストイングリッシュみたいな設定に出会うとは思わなかったぜ。それだけにループ脱出の点だけうーんと思ってしまった。たいていのラノベだったら気にならないくらいの違和感なんですけど。

 描写も凄いなこれ。かなり高いレベルで小説として完成しているラノベ。だけに、ラノベ読者層にうけるのかこれみたいなラノベでした。


 主人公が劇的に変化する。成長とかいう次元でなく変わります。『よくわかる現代魔法』は凄くきれいに普通の成長ものとしてまとまっているんですが、それとはだいぶ違う変化のしかた。桜坂洋は変化というのを一つのモチーフに持っているのかも。


 後書きにもあるように、「クリアするまでコンティニューし続けるゲーム」みたいな展開なんですよね。フラグによる分岐式なのもそうですし。そこで終わらず一筋縄でいかない、さらに踏み込むところが面白い。東浩紀が好きそうだなあと思ったらwikipediaにそう書いてあった。

 桜坂と言えば眼鏡っ子。眼鏡キャラは無条件で愛されてます。私は坂崎さんが一番好きだけど。

 しばらくぶりだけど現代魔法の続きでも読もうかなあ。

関連タグ: 読書ライトノベルラノベ桜坂洋

BSマンガ夜話 『よつばと!』

よつばと! (1)
(amazon)

 BSマンガ夜話見てきた。相変わらず夏目先生はすげーな。ゲストの宮地真緒さんもすげーちゃんと読んでてびっくりした。今回は(今回も?)岡田斗司夫が浮いてたな。あの細かさが今回は空回りという感じ。

 おおよその方向としては『よつばと!』はまず、1.よつばの主観を排していて2.俯瞰的、あるいは客観的なところから見ているようなマンガであるということ。さらに、3.「リアルでないリアル」を描こうというマンガであること、といったところでしょうか。

 私はだいたい、いしかわじゅんあたりと似たような読み方してましたねえ。ちょっとくらいちゃんと言及してみよう。

『よつばと!』の世界

 私は、『よつばと!』は子供の原理を描いたマンガだと言ってしまっています。子供というのは大人と比較されて意味をなす概念です。

大人 ―― 子供
理屈 ―― 感情
打算 ―― 純真
安定 ―― 不安定
コスモス(秩序) ―― カオス(混沌)

 こんな対立構造を持ってます。『よつばと!』は私に言わせれば、子供の原理を大人の原理から傍観するマンガです。


 よつばの主観を排している、ということが番組でも強調される。夏目先生によると作者のあずまきよひこ自身がインタビューで言っていたとか。

 夏目の目で指摘された8巻収録の第49話で、自転車をよじ登るシーン。これはほとんど同じコマだが、よく見ると微妙に視野がずれている、という手法があることに気が付く。これを、「カメラが捉えている映像を画像化したもの」と言った。

 これはかなり鋭い視点に思います。つまり、主人公はよつばなんだけど、よつばを見守る大人という視点が読者に対して与えられているということだ。これは意識してやっている。

 だからよつば自身のモノローグなどの主観は徹底的に排除される。

 さらに言えば、それは中に入っていけないものだという線引きでもあると思う。大人の理屈では子供の直観的世界という原理を理解することはできない。だから見ることでしかよつばという存在を意識できない。よつばの意思は見て聞いて読み取らないといけない。

 これを描けるというのは並大抵のことじゃあない。猫と一緒にするのもあれだけど、ギャリコの小説『ジェニィ』なんかに近い観察力と想像力に裏打ちされた世界だと思う。


 『よつばと!』の面白さっていうのはここなんだな。「日常ってこんなに面白かったんだ」という発見と、「実際我々の日常ってそんなに楽しいものじゃない」という感覚が、ここでは共存が許される。

 我々は日常ってこういうものじゃないんだ、と知っている。だから『よつばと!』の世界はファンタジーだ。けど、どこか子供ってこうだよね、っていう気持ちになれる。現実の世界を横に置いておくことで、日常の再発見ができる。そこを指して切ないマンガだと言っているんだな。

 もの凄く穿って言うと、よつばという存在があることで初めて、日常にささいな喜びを見つけられる(そういうものとして記号的に描かれる)。でもよつばはファンタジーなんだ。だからその空虚さが切ない。

 リアルでないリアルというのはそこの部分だ。知ったような言い方をすれば、あずまきよひこは「大きな物語」を信じていない。「小さな物語」あるいは見える範囲という意味での主観的世界だけを描こうとしている。

 そのことを踏まえると、よつばは記号的な存在だという見方がするっと飲み込めると思う。


 そして重層性。『よつばと!』の世界は多様な読みの可能性を残す、と岡田が言っている。ここの鍵は綾瀬家が握っていると思う。

 三姉妹という設定は年代の違う視点を提供する。子供から大人に近い大学生まで、さらにそれよりちょっと上のとーちゃんたち、よつばと同じ次元でケンカをするやんだを入れて、これだけ多くのカメラを用意してる。大人の原理の持ち主はよつばに共感することは不可能だが、この多層構造がフィルタとなって誰かしらが引っかかるし、いろいろな見方は面白さそのものにもなる。

 ついでに言うとキャラ萌え的嗜好層(オタク層)もカバーできる、というのは完全に『あずまんが大王』の遺産だな。いしかわじゅんの言うように全部捨ててきた、というわけじゃない。

よつばと! 8 (8) (電撃コミックス)
(amazon)


 結局まとめちゃうとどこでも言われているようなことになってしまう。そういうシンプルさは意図的に出してると思うんだけど。

 つまり日常の再発見というものが根底にあるんだ。それはリアリズムに端を発する私小説的なものではない。つまりサザエさんみたいなのを目指してはいない。あれは日常そのもので、よつばとはそれを発見しないといけないんだな。

 そのための演出方法というのがとびっきり上手い。

 夏目先生はクレヨンしんちゃんではなくてぼのぼのに繋がっている作品だと言ってましたね。「下品でないクレヨンしんちゃん」という喩えは結構好まれて使われてきたんだけど、私は完全に別だと思う。しんちゃんは大人の原理で動いている子供というのがギャグになるマンガだ。

 ここまで「子供」というものを描いたということが凄い。夏目先生がこの世界観を、よつばにとっての「楽園」という言い方をしたのが凄く腑に落ちた。その視点はなかった。

 よつばはペットじゃないんだ。例えば猫よりは犬好きの人なんかによくいると思うんだけど、ペットの気持ちを勝手に想像して“遊んであげ”て「よかったでちゅねー」とかねこなで声で会話してみたりみたいな行為がある。服を着せてみたりする。私に言わせると投影ですね、自分が想像するところのワンちゃんという人格を造り出して、擬似的なコミュニケーションをする。あずまきよひこはよつばに対するそれを許していない。作中のキャラはもちろん、読者さえ距離を置いたところにとどめて観測者にとどめる。


 長くなってしまった。それだけ好きだってことです。なんか小説のときよりよっぽど熱くなってるな。マンガ夜話という番組がいけないんだけど。

関連タグ: マンガ漫画よつばと!

春季限定いちごタルト事件 米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
(amazon)

 ココアはやっぱりバンホーテン。

あらすじ

 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、「小市民」を目指す互恵関係の高校一年生だ。小市民は清く慎ましく、当たり障りなく生きてゆく。探偵ごとなんかもってのほかだ。

 そんな二人の前には次々と奇妙な謎が現れる。

 消えたポシェット、奇妙な二枚の絵、おいしいココアの作り方。

 『さよなら妖精』・古典部シリーズの米澤穂信が描く「日常の謎」解きミステリ・コメディ、小市民シリーズ第一作。

感想

 そんなわけで『春季限定いちごタルト事件』米澤穂信、創元推理文庫。

 普段ラノベしか読まなくても違和感なく読めそうだ。

 人が死なないミステリ。一応、時系列が一貫してるんですが、最後の話以外は単発の短編とみなしてよさそう。結局通して読まないといけないんだけど。

 伏線がわかりやすい。ああ、あれが! っていうことはあんまりなかったかな。最後のプリミティブ端末は気付かなくて笑ったけど。ただやっぱりそれらの情報の組み立てが巧いんだろうなあ、一つ一つの話がよくできていて面白い。「おいしいココアの作り方」なんか最高だぜ。絵の話だけはタイトル聞いた時点でピンと来た。


 古典部の折木もそうだけど、米澤の主人公は「一歩引いてる」んだね。合わないと合わないのかもしれないけど、こういうやつらには歩み寄っても無駄で、こっちも引いたところから読んでやる姿勢がないといらいらするかも。何の話をしてるんだ私。

 ただ小鳩はどこまでも鈍いなあ。折木は『氷菓』の時点では割と変化に身を任せるのを楽しんでる節もあるんだけど、小鳩君は心的エネルギーが内側に向きすぎてる。それが面白さというかもどかしさというかなんだけど。僅かの亀裂で壊れてしまいそうな危うさがある。

 こういう微妙な人間関係を書くのはうまい。私は大好物です。<アリス>の春季限定いちごタルト食いてえ。恨んでいいよあれは。

 巻末の解説が余計だったなあ! 要らんことしか書いてないし解説してないし。たいてい私解説も面白がって読む人なんですが。

 『夏季限定トロピカルパフェ事件』も読みたいけど秋季限定が出るのを待ってからにしようか。古典部シリーズの続きも気になるし、『さよなら妖精』もいいかげん読んでおきたい。まんまと米澤ワールドに引き込まれている私。

関連タグ: 読書米澤穂信小市民シリーズ

モルグ街の殺人事件 ポー

 「『あらゆる公衆一般の概念、あらゆる世間一般に承認されたる慣例は愚かなるものと思わばまちがいなし。なんとなれば、そは衆愚を喜ばしむるものなればなり』さ」とデュパンはシャンフォオルの言葉を引用して答えた。

 amazonに表紙イメージがなかった。


 世界初の名探偵、C.オーギュスト・デュパンの登場する探偵小説三編と、恐怖もの二編を収録した、エドガー・アラン・ポーの短編集。

 エドガー・アラン・ポーといえば江戸川乱歩であって、私は明智小五郎に『モルグ街の殺人事件』のネタバレをされていた! なんというトラップ……一緒に買ってきてどっちから読むか迷ったのに!

 まあもともと有名ではあるんだけど。あれから月日が経ち、ようやく読むことにした。

 推理ものとしては『盗まれた手紙』、それと恐怖ものが面白かった。『落穴と振子』『早すぎる埋葬』ともに秀逸。

 警察が事件を解決できなくて、探偵が登場する。これは今でもテンプレートなパターンと言えるが、この警察は無能ではないんだな。ことサスペンスドラマとか見てると、いくらなんでも警察もうちょっと優秀だろと言いたくなるくらい頼りないのばっかりなんだけど、これはもうテンプレートにリアリティが発生しちゃってる結果だね。いわゆるマニエリスム。ポーの小説は黎明だけあって、警察が警察らしく仕事をして、その結果失敗するという流れがあってその差が面白い。


 恐怖小説について言えば、ポーの恐怖は死よりも、生と死の狭間にある。面白い視点。私はかなり気に入った。乱歩なんかの人間が一番こわいみたいなのも好きだけど。


 そんなに分量ないんだけど結構重たかったな。一編読んで他の本に手を出す、くらいがちょうどよかった。実はゼロ魔読む前から手をつけてたんだけど。

関連タグ: 読書

マックス・ヴェーバー入門 山之内靖

[amazon] マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)
(amazon)

 ヴェーバーは早すぎた人だった。『マックス・ヴェーバー入門』山之内靖、岩波新書

 ヴェーバーといえば、人によっては「誰それ?」くらいの認識かもしれない。高校時代に世界史が得意だったなら名前くらいは聞き覚えているかもしれない。

 社会学に関心があれば決して避けて通れないビッグネームである。

 私なんかは行政学というか組織論から入って官僚制論の人、というイメージのほうが強いんですが、一般的には「『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の人」かな。

 この『プロテスタンティズムの(略』というのは、カルヴィニズムの影響があった国で資本主義が目立って発達したことは偶然ではなく、その信仰の内に根拠があったという論文です。この『入門』でもこの著作を通して宗教と経済の関係が取り上げられます。

 またヴェーバーは社会学の黎明期にあってその方法論の成立に影響を及ぼした人物でもあります。19~20世紀にかけて活躍した人で、めざましい業績は20世紀に入ってから。古代史とかの論文もあってスーパーマンっぽい人です。


 従来の(といってもこの本が1997年だから少なくともそれ以前の)正統派ヴェーバー理解というのはこうだ。西欧近代は他の文明原理と決定的に異なる、合理性という概念を持つと仮定して、「現世の呪術からの開放」という道筋でその発展を捉えた、というもの。

 ここには前提として、発展と時間軸を一元的に見る、進化的な歴史観というものがある。平たくいうと西洋すげー、他は遅れてる。という価値観。一方で、山之内はこれはヴェーバーが元来意図したところのものではないとした。

 ヴェーバーは社会学的手法に関して、「価値自由」を提唱しています。これは、社会学上のあらゆる命題には、ある種の価値判断が挟まれざるを得ないということを前提とする。従って社会学に用いられるモデルには、それがいかなる価値尺度を基準としているのかを明らかにする必要がある、とするものです。

 この点で進化的歴史観、あるいは西欧的合理主義の賛美という「価値観」は相対化されるべきものであることは明らかだ。山之内によれば、ヴェーバーはこの近代合理主義に必ずしも肯定的でなかった、むしろ強く警戒感を持っていたという。

 この点で、『マックスヴェーバー“入門”』というタイトルはちょっとおかしくね? という感じでもありますが、とにかく正統派的、古典的理解とは一線を画すヴェーバー像が描かれています。なかなか面白いし、これだけなら説得力がある気がする。気がするというのは、何しろ私は正統派ヴェーバー解釈をちゃんと勉強してない。網羅的とも言えないし、やっぱり入門書ではなかろうな。

 何も、ヴェーバーは近代合理主義の普遍性を否定はしなかった。むしろ、あらゆる文化的価値を排斥するものとして「破壊的な」普遍性を持つものであり、この点で「合理主義の普遍性を肯定」しながらも、それを「賛美」するのとは違う方向性の解釈をする必要がある、と大ざっぱにはこんな感じですかね。

 そういったことを『プロテスタンティズムの倫理と(略』の解読や、マックスの妻マリアンネによる伝記を資料として論証していきます。官僚制論にもちょっと触れて成る程なあ、という感じ。山之内の主張する内容がそのとおりなら、確かにマックス・ヴェーバーという人物は近代主義の限界に立っていた。いや、限界をとうに見極めていた。早すぎた人だったのだ。


 大変面白かった。が、とりあえず古典的なヴェーバー入門を探してきたほうがいいかしらん。

関連タグ: 読書

[マンガ] 探偵綺譚 石黒正数

[amazon] 探偵綺譚~石黒正数短編集~ (リュウコミックス)

 『それでも町は廻っている』の石黒正数の短編集『探偵綺譚』。それ町好きなんでつい買ってきた。

 面白かった。ナンセンスといっていいのもいくつかあって好もしい。古典的な感じさえする。それ町のノリを期待すればだいたい期待通り。それ町+若干のSFとか。ハードボイルドとか。

 歩鳥と紺先輩は石黒的には動かしやすいキャラクタなんだろうなあ。いろいろの短編にその元型が見えます。石黒キャラはかわいいとかよりも親しみやすいというか。なんかいいんだよね。

 勢い任せにならないギャグってやっぱ面白い。とりあえず誰かつっこめ。

 悪の秘密基地は東京にあるそうです(あとがきより)。

関連タグ: マンガ漫画石黒正数

[アニソン・ゲーソン] Rock'n Roll Never Die

 買ってきたぜ。キラ☆キラ カーテンコール未プレイだけどな……!

 まあキラ☆キラでさえ全ルート攻略してないんだけど。歌が好きすぎる。一番はHAPPY CYCLE MANIAのa song for...。キラキラ関係ないけどエーデルワイスのAshberryなんか大好き。

 なんか観てないアニメのアニソンとか、やってないゲームのゲーソンとかばっかり聴いてます。

 そういえばこれ二代目第二文芸部のvo.ってのみこさんなの? 今回初めて聴いたんですが、てっきりひろ美姉さんあたりになるのかなーとか発売前からこっち思ってたんですが、聴いたら声ちげー。

 というくらいに全然カーテンコールは縁がない。とられる時間あたりの物語量(私調べ)ってラノベ>漫画>他の小説>ノベルゲーム>アニメだからなー。費用だと小説>>漫画>>>>>>ゲーム>アニメ(DVD)くらいだし。よっぽど期待がないと動機付けが足りんぜよ。声と絵にどれだけ価値を見出すかだと思うけど。

 とりあえずエンドレスリピートで聴いてくるぜ。

[フリーソフト] Headline-Reader Lite

 今なんか降りてる。マジで(挨拶)。しばし更新がいいかげんになるかも。

 Google Chromeなんかには真っ先に飛びついた私ですが、変なところでアナクロで、RSSリーダーは何か苦手で手を出しておりませんでした。やっと導入したぜ。

 Operaについてるリーダーが使い勝手いいかなと思ってたんですが、取得するフィードが増えてきたところでUI上の不都合が出てきたので、独立したやつ使うことにしました。

 GreatNewsを試したのですが、Operaと連携しないという致命的な欠点があったのでやめました。

 で、Headline-Reader Liteなんですが。

 機能は必要な分はそろってるかな。インターフェースが微妙。メニューが独自の語彙でよくわからん。アイコンもちゃちい。

 うーん、3ペインなのはいいんですが、垂直方向に分割できないもんかなこれ。ディスプレイが横長で、ブラウザのタブさえ横に置く人なので、上下に分かれちゃうより縦に3つ窓があったほうがいいんですよねー。GreatNewsはできるんだよなあ。

 申し訳程度でもマウスジェスチャがくっついてるのは素晴らしいですね。マウス派なのでこのソフトからOperaにばんばん飛ばす方法を模索していたんですが、マウスジェスチャで解決しました。

 エンジンがIEなだけにブラウザウィンドウの融通がきかないのがめんどくさいなあ。

 とりあえずブラウジング効率は上がった気がします。時間捻出は物書きの業よ。何で今まで使ってなかったんだか。

関連タグ: フリーソフト

[ラノベ] ゼロの使い魔 ヤマグチノボル

 今のライトノベル界隈では中心的な作品になるのかな。食わず嫌いもなんなので、読んでやろうとは思っていた。『ゼロの使い魔』1巻 ヤマグチノボル、MF文庫。

 面白くなってくるまでにだいぶかかるね。中身を見たらきっと買う気がなくなると思って、手に取るなり真っ直ぐにレジに向かった。頭から読んでみて買うか検討してたら棚に戻していたかもしれない。

あらすじ

 平賀才人は気が付くと見知らぬ、中世ヨーロッパを思わせる場所にいた。魔法使い達に囲まれ、自分は使い魔として召喚されたのだという。はたしてそこは異世界で、元の世界に戻る術もなく自分を召喚した美少女ルイズの使い魔として生活を始める。

 ある意味巻き込まれ型異世界ファンタジーの王道的ストーリーかな。

感想

 読みながら思ったのは、これはエロゲの文法で書かれたライトノベルなんだという感じ。

 何も主人公が無条件で女の子にモテモテになるという展開を言うのではない。

 『ゼロの使い魔』を読んでいると、時間の流れが非連続であることに気付く。ほとんど時間の流れのない1シーンその場のやりとりがあって、ブツ切りになって次に展開するという小さな場面転換を繰り返す。ちょうど、エロゲでキャラクタとの会話イベントがあって、暗転して次のシーンに進むのと同じだ。

 1行空行のある度に背景絵やイベント絵が切り替わるのをイメージしながら読むとわかりいい。こうした非連続はオタクにとって馴染み深く「読みやすい」わけだ。一人称と三人称を行ったり来たりするのも一般的な小説としてはむしろ読みにくいが、この非連続を許容するというデコード(解読)をあてにして成立している。

 ヤマグチノボルがもともとエロゲのシナリオライターであることからして自然と言えるのだが、これくらい判然とエロゲの文法を持ち込んだのは珍しいし、いっそ清々しささえある。


 そもそもが設定なんざクソ食らえという、何でもありの世界観でもって書かれている。中世ヨーロッパをモデルにした魔法文明にパンツがあってたまるか。というような考証は受け付ける気がねーのである。パンツの発生はかなり時代的に新しいのだ。これもエロゲ的なリアリティであって、小説的ではない。この辺『狼と香辛料』などと比べると面白い。


 文章は恋空並み。描写不足。それでも読めるというのもエロゲまたはマンガ的デコードによるのだろうが、長くなりそうだから置いておく。

 内容的には……主人公の透明さというかゾンビ的な非人間性もいかにもエロゲ的だよなあ。外部の刺激との相互作用で動いている感じ。物語の中で人物としてでなくツールとして在るという感じ。感情移入するとこがない。これと似た感覚は『灼眼のシャナ』でも受けた。

 この辺になれてくる、半分手前くらいのところからやっと面白みが出てくる。シナリオ屋だけあって最後の展開は単純に面白かった。発想の勝利というか。ただ起伏の大きいストーリー展開ではないね。ファンタジー! をあてにすると転けそう。

 つーか私はルイズもキュルケもタバサも好きなキャラじゃないのがこの手の作品として致命的だった。シエスタは好き。オールド・オスマンはもっと好き。

 読み終わってみると、私は続刊が次々に出ているのを知って読んだのでまだいいが、伏線の消化不良感が残った。まあそこは出版側が明らかに続き物を意識しているということであって、ラノベとしては珍しくないのかな。

 まあ期待してたよりはよかった。気が向いたら続きを買ってみよう。

 次は……併読を片づけようかね。

関連タグ: ライトノベルラノベヤマグチノボルゼロの使い魔

[マンガ] よつばと! あずまきよひこ

 8巻買ってきた。紹介するまでもないんですけど。ジャンルはたぶんほのぼの系コメディ。

 BSマンガ夜話第35弾の3日目のテーマが『よつばと!』といつの間にか発表されてたのでなんか書いてみようと思う。9月16~18日の24時から。8日から3日間前回分の再放送もあるようです。


 『よつばと!』をめぐる言明というのは結構ある。意外とある。一時期、とーちゃんの環境がオタクの理想郷だとかいうトンデモ説(と私は思っている)が流行ったりした。ちょっとひねくれすぎだと思う。

 このマンガの面白さっていうのは一般的にはノスタルジイとか子供目線の日常の再発見みたいな言われ方をしていて、実際そんなもんだと思う。私は子供の原理と呼んでしまうかな。つーか、それ以上を語ろうとすると失敗するんだと思うのね。

 それだけシンプルなマンガなんだな。コマ割なんかに注目すると、実験的なことは一切やってない。プールで水着を着たときにぶち抜きになってるくらいのもんです。ドラえもん並とまではいかなくても、ごく読みやすい読ませ方をする構成になっている。

 単に簡素なんでなくて、それを意識して実直な表現でもって描いている。これはある程度意図的だと思う。まあそういうマンガだよね。


 で、子供の原理といえばそうなんだけど、8巻について言うとまた新しい顔を覗かせる。これ私もさらっと読み飛ばしてて、ああ成る程と思いました。マダオの戯言さん、「よつばと!」8巻に見る、よつばの新しい世界。

 よつばより年下の子とのやりとりですね。『よつばと!』の時間の流れは『ARIA』よりもゆっくりですが(ARIAは“ゆったり”か)、確実に作品世界は進化しているようです。


 絵のことは得手ではないですがあえて言うと、背景とか小物をえらく細かく描きますよね。「よつばスタジオ」という態勢のなせる技だと思いますが。人物がシンプルなのに埋もれないのが凄い。

 こと背景・小物の細かさという土俵では武田日向というマンガ家がいます。GOSICKの挿絵描いてる人で、『異国迷路のクロワーゼ』は現在私の一押しマンガのひとつ。これでもかという程描き込みまくる人です。この人の場合、小物と人物が同等かそれ以上というバランスが特徴的といえます。人の顔より着てる服のが目立ったり、背景の中に人が埋もれたりするわけです。美麗さ故に。凄いです。特に絵描く人なんかにぜひ読んでみて欲しい。

 『よつばと!』はその点バランスよくて本当にうまく描かれてるなあと思う。細かいこと言うと、線の太さを神経質に変えてるんだよね。最新刊では表現方法がかたまったのか特に顕著です。


 マンガ夜話でどんな風に言われるのかちょっと楽しみですね。あの人達ちょっと変だからなあ! 見られるかわからないんですけど。

関連タグ: マンガ漫画よつばと!あずまきよひこ

姑獲鳥の夏 京極夏彦

 だいたいこの世に面白くない本などはない。 ――京極堂


 そこまで達観できない私ですが、大変楽しめました。初京極。『姑獲鳥(うぶめ)の夏』京極夏彦、講談社。

あらすじ

 “京極堂”は延々緩やかな傾斜の続く坂を登り詰めたところにある古書店だ。足を踏み入れれば売り物であるはずの本を読みふけっている一風変わった男が主人で、本来の家業は宮司、憑き物落としを副業とし、店の名で京極堂と呼ばれている。

 梅雨も明けようかという夏のある日、京極堂の古い友人である関口が当の古本屋を訪れて言った。
「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うかい?」京極堂はこともなげに答える。
「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」

 関口が持ち込んだのは古い病院をめぐる奇譚であった。出産しない妊婦、密室からの失踪。関口は怪異としか思えない謎の真相を探り始める。それは関口自身の封印された記憶の扉を開き――

 百鬼夜行シリーズ第一弾にして京極夏彦のデビュー作。

感想

 めっちょ身も蓋もない言い方をすれば、安楽椅子探偵もの。だがもちろんそれで言い切れるようなものではない。

 京極堂は一つのことを話すのに、最も効果的に遠回りをする人物である。関口と対話が始まるととかくに長い。だが退屈させず引き込むのは、圧倒的な知識量と論の確かさゆえだ。

 長話をさせて賢く見せるのは難しい。同じく講談社に西尾維新なる作家がいて、彼の『きみとぼくの壊れた世界』というのを読んだが、その探偵は三行で済むことを一頁かけて話すだけで、賢いと記述されているだけで描写されていない感じを受けたのだった。

 森博嗣のS&Mシリーズの(と言っても『すべてがFになる』しか読んでいないのだが)犀川先生は、本当に重要なことを一言さらっと言うタイプの天才だ。

 京極堂は違う。彼は一見遠回りをして、関係のなさそうなことを話しているようだが、その実は相手に自ずからわからせるという話術を使う。最後にあっさりと結論すると、これ以上なく納得してしまうわけだ。


 ミステリだと思うと最後に呆気にとられるかもしれない。というかある種禁じ手みたいなものだろう。面白いのはあえてそれをやった、ということそのものだと思う。

 世界を物質世界と内的世界に二分するというのはいかにも心理学的だ。私なんかは後者を指して広く認知の産物と言ってしまうが、ここではどちらかというと臨床心理学が想定している心理みたいなものを扱っている。「心理学は文学だ」と言ってしまうのも大変面白い。作品の時代背景を鑑みれば私もおおむね賛成する。


 講談社ノベルスで400頁ちょいは京極にしては割と薄い方なのか? といっても、凶弾に倒れたと思われていたジャックが思いがけずみんなの前に現れて、懐から取り出しながら「こいつのおかげさ」と言ってにやっと笑えるくらいの物量がありますが。まあ量の割に読みやすかったです。

 次は何を読もうかな。

関連タグ: 読書京極夏彦百鬼夜行シリーズ

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秋涼いちる

 ライトノベルから漫画から、一般小説、新書、果ては辞典までおよそ本の形をしたものなら何でも読む。

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