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『檸檬・Kの昇天』 梶井基次郎

 本棚から本が崩れ落ちてきました。いてえ。

 講談社文庫の梶井基次郎の短編集です。表題の『檸檬』や、『桜の樹の下には』など十六編が収録されています。

 個人的な感想は、一編読んだときよりも、二三編と続けて読んだときにその凄まじさが浮きだってくるような、それぞれの根底に流れるある種純粋な何ものかを感じ取ったときに、改めてこみ上げてくるような面白さのある本でした。


 梶井は心境小説的な私小説の作家と言われる。そのとおりだと思う。また日本の自然主義、リアリズムの一つの終着でもあった私小説的側面がある他方、同時に絵画でいう象徴主義的な、或いは印象主義的な面があるように思った。

 自身病苦に蝕まれ、その体験が作品に落とす暗澹たる死の影と、その対照をなす儚さの中に見る美しさというものの対比。或いは逆に、美しいものに触れる心の躍動と、水を差すどこかわだかまる心の腫瘍のような何ものかとの、見事というほかない対比が、光と影、また色彩の鮮やかさとして、緊張感をもって象徴的に描き出される。

 通俗的リアリズムが見える“もの”をそのままに描き出すことを目的としたならば、梶井は眼前の“もの”を見る主体(“私”)の心の動きとして、その存在を捉えようとした(これは小林秀雄や解説の高橋英夫によれば志賀直哉が無意識に始めたことだが)。これによって私小説の中に象徴的要素を矛盾なく取り込んだ。

「視ること、それはもう“なにか”なのだ。自分の魂の一部分或いは全部がそれに乗り移ることなのだ」

『ある心の風景』 “”内は本文では傍点

 そうして描き出された光と影の対比をまのあたりにして後に読む、『桜の樹の下には』の凄まじさ! この仄暗い美しさは梶井の作品世界そのものだ。


 やっぱり代表作の『檸檬』もいいですが、個人的には『桜の樹の下には』『蒼穹』のような三四ページの作品が特に気に入りました。なんというか完全さがありますね。三ページ読むのに読み返し含めて二十分ぐらいかかってた気がします。

 次はラノベでも読もうかな。

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コメント

こんにちは!先日は当ブログにおこしいただきまことに
ありがとうございます!素敵なブログですね。
とっても丁寧な読書評に感心いたしました。
では、また遊びに伺います!

>>校門さん

ありがとうございますー。
書評に関しては自分の考えをまとめる意味もあるのでできるだけ丁寧に書くようにしています。
であ、またどうぞ。

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